妖の王子さま
「蒼子さま・・・」
おずおずと蒼子に声をかける牛鬼。
蒼子は顔を覆っていた手を外すと、落ち着かせるように息を吐いた。
「・・・ごめんね、変なところ見せて」
「なんであんな狐を庇うんだ?」
「別に、庇ってるわけじゃないよ」
牛鬼は唇を噛みしめた。
「弱み掴まれてんのか?だからこんな・・・」
「違うよ。本当に、大丈夫だから」
蒼子自身、どうしてこんなことをしているのかわからなかった。
でも、傷だらけの白玖を目の当たりにすれば放っておけなくなる。
心が乱れて、身体が勝手に動いて白玖を助けてしまう。
赤、が怖い。
「でも、こんなのだめだ!蒼子の身体が壊れる!」
「私ね・・・。ずっと一人ぼっちだったの。この変な力のせいで」