妖の王子さま
奪還の時
「怪我の調子はどうだ」
部屋に籠っていた蒼子のもとにいずながやってきて尋ねた。
「あ・・・、もう全然」
「もう治ったというのか?」
「・・・私の身体、おかしいんです」
自分で言いながら切なくなる蒼子。
いずなはそんな蒼子を眺め、なにも言わず中に入ってきて蒼子の側に座った。
そして、蒼子の手を取ると着物の袖を捲り上げる。
「え・・・っ」
「本当に消えているようだな」
いずなはそういうとその手を放す。
「お前は、女なのだから。傷跡でも残ったらどうする。もっと自分の体を大事にしろ」
「え・・・」
「自分を傷付けることはやめろと言っているんだ。わかってるのか?」
厳しい表情でいずなはそう言い切った。