妖の王子さま



蒼子が外に出ると、いずなの背中とその先に白玖の姿を捕らえた。
白玖の側には、牛鬼や多々良の姿もある。



「よお、何しにきやがった」

「・・・わかってるでしょ」

「お前が何かに執着するなんて、どういう風の吹き回しだ?」

「お前に関係ない」




いずなと白玖が対峙し、いつ戦いが始まってもおかしくない空気が流れる。
白玖は刀を抜き構えている。




「お前はあの女を利用しているだけだろう」

「・・・利用?」

「あの女の力。貴様の怪我の治りがやけに早いと思っていたんだ。そういうカラクリだったんだろ?」




いずなの言葉に、眉間のしわを一層濃くし白玖がいずなを睨みつける。





「くくっ、そんな顔も初めて見るな」




いずなはおかしそうに笑った。





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