妖の王子さま
蒼子は目を覚ます。
頭がボーッとし、パチパチと数回瞬きをした。
その瞳が映すのは、見たことのない場所。
木の板で張り巡らされた壁。
寝かされていたのは、たった一畳だけ敷かれた畳の上。
遠くに見える壁は、木が組まれまるで牢屋のよう。
いったい、ここはどこなのかと。
多々良の瞳を見つめていたら、次第に意識が遠のいていった。
あの瞳に吸い込まれそうな感覚・・・。
「目が、覚めましたか?」
「あ・・・、あなた・・・」
組まれた木の向こうにおそらくここに連れて来たであろう人物を見つけた。
多々良は、相変わらず冷静で端にある扉から中へと足を踏み入れた。
「あの、ここは・・・」
「ここは、我が主の屋代の中の牢ですよ」
「牢・・・」
恐らくそうなのだろうと思っていたが、言葉にして牢だと言われると、恐怖に顔がこわばる。