妖の王子さま
「白玖、怪我してる」
白玖の屋敷に戻ってきた蒼子。
白玖の部屋に戻ると、蒼子は白玖の怪我に手を伸ばした。
「触るな」
白玖は手を払い眉を顰めた。
蒼子は払われた手に戸惑いながらそっと手を下した。
「でも・・・、私に移せば、すぐに治るから」
「いい」
「白玖・・・?」
なぜそんなことを言うんだろう。
迷惑そうに顔をしかめて。
蒼子は、悲しくなり顔を俯かせた。
「蒼子は、帰ってこないほうがよかった?」
「え?」
「あいつの元の方が、よかった?」
白玖の瞳がまっすぐ蒼子に注がれる。
蒼子は、驚きに目を丸くし白玖を見つめ返した。