妖の王子さま
白玖は、ズイッと体を蒼子に寄せる。
蒼子は驚き身体を後ろに傾ける。
白玖は身体を止めることなく近づいていき、蒼子は支えきれず畳に背を付けた。
「は、く・・・?」
白玖を見上げる形になった蒼子は、不安に瞳を揺らす。
白玖は感情の見えない瞳で蒼子を見下ろす。
蒼子の顔の横に両手をつき、まっすぐと見下ろす白玖。
「わからない。・・・自分が変なんだ、蒼子」
「え・・・?」
「蒼子が、浚われたって聞いて、心臓がうるさくて。こんな事、初めてだった・・・。ねぇ、これはどうして?」
真っ直ぐな瞳に射抜かれるように、蒼子は身動きが取れず。
「こんな気持ち・・・おれ知らない」
「白玖・・・」
「蒼子、どこにも行かないで。おれの見えるところにいて」
白玖の顔が近づき、蒼子の額にチュッと音を立て口をつけた。
蒼子の心臓は激しく音を立てた。