妖の王子さま
操り人形
「人間の女を匿っているそうじゃない」
白玖は、薄暗い部屋で跪いていた。
鋭く咎めるような女の声が響く。
「あなたは、ただ私のために生きればいいのよ。無駄な感情はすべて捨ててしまいなさい」
「・・・」
「聞いているの?」
「・・・はい」
「人間なんて、下等なものさっさと捨ててしまいなさい」
簾がかかったその向こうに、女は椅子に反り返って座っていた。
横に控えた従者の狐に大きな扇子で仰がせながら。
「まったく、使えない子ども」
「・・・すみません」
「さっさと天狗も鬼も殺してしまいなさい。余計なことは考えないことね。あなたの身体がどうなろうと、勝ちを早く持ってきてよね」
「・・・はい」
白玖は、唇を噛みしめながら頭を下げた。