妖の王子さま



角・・・。
確かにそれも、興味はある。
蒼子は好奇心には勝てずそっと手を伸ばした。


もう少しで牛鬼の角に触れる、という所でガシッとその腕を下から捕まれた。




「え・・・?」




蒼子が驚き視線をその腕に向けると、それは白玖の手だった。




「は、白玖?」

「だめ」

「だめって、なにが・・・?」

「おれ以外の奴触ったらダメ」




白玖のまっすぐ澄んだ瞳が蒼子を捕らえる。
捕らわれた蒼子は、逃れることはできず。

その手は白玖によって引き戻された。



白玖は蒼子の手をそのまま自分の頭に引き寄せる。




「蒼子の手は、ここ」




そう言って再び目を閉じた。
煩く鳴りたてる心臓の音と、赤く染めあがった顔。




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