妖の王子さま
蒼子が目を覚ましたのは次の日の朝の事だった。
身体の毒はまだ完全に抜けきっておらず、布団から起き上がることはできない。
「蒼子!よかった、目が覚めたんだな!」
目をあけた蒼子に、志多良が泣きべそをかきながら駆け寄った。
その側には多々良も、牛鬼もいた。
「私・・・」
「夕餉に毒が仕込まれててそれを飲んだんだ」
「毒・・・。ああ、そうか・・・」
牛鬼の答えに、まだ虚ろげな意識で蒼子は答えた。
「蒼子さん、すみません。こんな目に遭わせてしまって」
「多々良・・・」
「おい、多々良。誰の仕業なのか、俺たちにも教えろよ。狐の大将は知っている風だったぜ」
「え・・・?」
牛鬼は険しい顔で多々良に詰め寄った。
多々良は、目を伏せ少し思い悩んだ後、仕方なく口を開いた。
「・・・白玖さまの母君です」