妖の王子さま
「無茶な戦い方をして・・・。ひどく血を流してしまっていて。血を止めようとしているんですが、傷が大きく止まらなくて・・・。これ以上血が流れてしまうと、いくら妖の身体とはいえ・・・」
「そう・・・」
「・・・で、ですが、蒼子さん。あなたすでに傷を・・・」
顔をあげた多々良が蒼子の身体を見るとその体にはすでにところどころ傷を負っていた。
「ごめん・・・。俺の傷を受け取ってくれて・・・」
「大丈夫、まだ、いけますから」
「ですが・・・」
「私には、これくらいしかできることはないんです。白玖にしてあげられること。それくらいしかないから」
蒼子はそういうと白玖の側に寄る。
細い呼吸を繰り返し、青ざめた顔で横たわる白玖。
その姿を見れば、どれ程無謀な戦い方をしていたのか見ていなくてもわかる。
どうしてここまで自分を追いつめてしまうのか・・・。
蒼子は胸を痛めながらそっと白玖の身体に触れた。
「・・・っ」
流れ込んでくる痛みは、今までと比べ物にならず。
顔をしかめその痛みに耐える。
白玖を助けたい一心で、固く唇を噛みしめると噛みしめた唇が切れ血が流れた。