妖の王子さま
それから丸2日、白玖は部屋に戻って来ず、蒼子も食事をとろうとしなかった。
怪我が治ったばかりの身体は、見てわかるように衰弱していて何度も牛鬼が食事をとるよう説得しても頑なに食べようとしなかった。
牛鬼はしびれを切らし志多良に番を代わってもらい多々良のもとに行った。
白玖のいる部屋に多々良はおり、牛鬼は多々良を呼び出すと部屋の外で向かい合った。
「牛鬼、あなた蒼子さんの側にと・・・」
「わかってる。すぐ戻る。今は、志多良に変わってもらってる」
「そうですか・・・」
「白玖の様子は」
「まだ、油断ならない状況です」
多々良はちらりと視線を部屋へと向けると苦しげにそう言った。
牛鬼もそんな多々良を見て唇を噛んだ。
「もう・・・限界だ。蒼子さま、なにも食べてくれない。白玖に会うまでは食べないって頑なで・・・」
「どうにか頑張ってください」
「頑張ってるよ!でも・・・、見るからに衰弱して行ってて・・・俺、辛い・・・」
弱音を吐きだす牛鬼に多々良は息を吐く。
「では、なんと説明するんです?今回は戦で傷を負ったのとはわけが違うのですよ」
「それは、わかってる・・・」