妖の王子さま
「・・・力を使わないと約束してください」
「え?」
「力を決して使わないのであれば、白玖さまに会わせることくらいは許可します」
「ほんと・・・?」
「はい。少しでも力を使おうとすれば、すぐに引きはがして部屋に戻しますよ」
蒼子の思いに多々良はそこまで譲渡した。
蒼子は顔をあげ何度も頷いた。
「それでもいい!白玖に会いたい!」
本当なら、傷をすべて引き受けたい蒼子だったが。
せめて会えるのならと納得した。
「では、こちらに」
「うん!」
「牛鬼は、志多良の様子を見に行ってください」
「へ?」
「蒼子さん、志多良はどうしたんですか?」
「え・・・あ・・・。ごめんなさい。どうしても外に出たかったから、縛って部屋の中に・・・」
「え!?」
それを聞いた牛鬼は慌てて部屋に向かった。
その牛鬼を見送り、申し訳なさそうに眉を下げた蒼子は多々良を見上げた。
「まったく、あなたという人は」
多々良は呆れたように呟いた。