妖の王子さま
「蒼子・・・。手を・・・手を繋いでほしい・・・」
「手?・・・こう?」
白玖に求められ、そっと手に触れた。
身体が動かせないのか、にぎり返されることはなかった。
「・・・うん」
白玖は心地よさそうに目を閉じる。
そして、再び眠りに落ちた。
「白玖さまの、こんなお姿、初めて見ました」
「・・・私も」
「蒼子さまに、心を開いておられるのですね」
それが嬉しくて、心地よかった。
白玖に必要とされる。
それだけで、胸が温かくなるのを感じたのだ。
いつの間にか、こんな風に白玖に思いを馳せていた。
こんなにも、側にいたいと願うようになっていた。