妖の王子さま
「人間無勢がわらわになんの用だ」
澄んだ射抜くような声が響く。
ピリピリと刺すような声。
「・・・っ、お話があってきました」
「話だと?人間なんぞと話すことなど、ないわ」
「白玖の事で、お願いがあります」
蒼子は、頭を下げたまま話す。
簾越しでも、その姿を見て話すことができなかった。
それ程の威圧した空気が、蒼子の身体を震えさせていた。
多々良も、その重圧に眉を顰める。
人間である蒼子はこれ以上に恐怖を感じていることだろうと、蒼子の身を案じていた。
「白玖を、あんな風に傷つけるのはやめてほしいんです。無理な戦い方をさせるのも・・・あれでは、白玖が死んでしまいます」
「白玖はわらわのもの。わらががどう扱おうが貴様には関係なかろう。わらわの持ち物を勝手にたぶらかしおって」
「白玖は物じゃありません!白玖だって、生きてます!心だって、あるんです!」
蒼子は畳につけた両手をグッと握りしめる。
恐怖に声を震わせながらも必死で訴える姿に、多々良は眉を顰めた。