妖の王子さま



覚悟を決め、目を閉じた白玖立ったが。
重くのしかかる人の温もりを感じ、同時にひどく悲痛な叫び声を聞くことになった。




「あああっ!」




ぐったりと白玖の身体に倒れ掛かる蒼子の身体。
白玖は目を見開き、その体を抱きとめた。




「蒼子!?どうして!」





声を荒げた。
蒼子が、白玖と母の間に入り、白玖を庇ったのだ。
何度も、狐火をその体に受けた蒼子は、酷く憔悴しぐったりと白玖の胸にもたれかかる。




「白玖に・・・心がないなんて・・・ウソだよ・・・。だって、私を・・・庇ってくれたじゃない・・・白玖には、ちゃんと心があるよ・・・」

「蒼子!蒼子!」

「傷つかないで・・・。傷つくことに・・・慣れないで・・・」





蒼子の切実なる願いは、白玖の心にまっすぐと向かう。
白玖は、蒼子の身体を強く抱きしめ顔をうずめた。





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