妖の王子さま
蒼子もすっかり回復し穏やかな日々が戻った頃。
屋敷は再び慌ただしさに包まれた。
「白玖さま!大変です!」
「どうしたの?」
蒼子と白玖は白玖の部屋で穏やかに過ごしていた。
白玖は蒼子の膝枕で眠り、蒼子は本を読んでいた。
多々良が慌ただしく中に入ってきたので、蒼子は本を閉じ、白玖は身体を起こす。
「鬼たちが!朱鬼たちがこちらに向かっております!」
ここのところおさまっていた戦。
ここに来てようやく動き出した。
白玖は立ち上がり刀をとる。
「すぐに着替えて、向かう」
「はっ!」
蒼子は、その様子を不安げに見つめていた。