妖の王子さま
「は、白玖?」
戸惑いに目を丸くしながらむすっとした表情の白玖を見上げた。
「なんだか、腹が立った。おれは、あいつが嫌いらしい」
「ええ!?」
むすっとした顔のまま白玖はそう言うとチラリと牛鬼を視線で指す。
牛鬼は突然そんなことを言われ、ショックを受けた。
「貸して。おれがするから」
「え?包帯を巻いてくれるの?」
「ん」
白玖が手を伸ばすので、蒼子は首をかしげながら白玖に任せた。
ぎこちなく包帯を巻き終える様を蒼子をはじめとする皆がじっと見ていた。
「これでいいか?」
「うん。ありがとう」
蒼子がお礼を言うと、白玖は満足そうに頷いた。
そして、ちらりと牛鬼を見た。