妖の王子さま
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
どうしてこんな思いをしなくてはいけないんだろう。
やっぱり、あんな力なんて使うべきではなかった。
知られてしまったから今こうして利用されてるんだ。
全ては後悔にしかならない。
悔しい想いに唇を噛む。
「オイラ、志多良っていうんだ」
「・・・私は蒼子」
「あおこ!よろしくな!」
ああもうどうして。
目を覚ました先にいるのが多々良じゃなくてこの子なんだろうと思う。
多々良だったなら、思いのままに文句を苦しみを憎しみを全部ぶつけてしまえたのに。
「ケガ、大丈夫か?」
「・・・うん。たぶん、時期塞がるよ」
そういう体なのだ。
不気味で、異様な。