妖の王子さま
「結局、ここで飼うんだ」
「え、ダメ?」
すっかりその気の蒼子は、白玖の言葉に驚いた。
そう言いだすだろうとなんとなく感じていた白玖は首を横に振り蒼子の隣に座った。
「蒼子の膝がとられなければ、おれはなんでもいいよ」
そう言いながら蒼子の膝に頭を乗せる。
そして瞼を下ろすとすやすやと眠りに落ちた。
相変わらず、蒼子の膝に転ぶと一瞬で眠りに落ちる白玖だった。
「蒼子さま、ありがとう」
「え?」
「こいつら、受け入れてくれて。名前も」
「私は何もしてないよ。牛鬼が助けたんでしょう?」
「俺は・・・、皆を助けられなかった。こいつらの親は、退治するしかできなかったんだ」
牛鬼は吐き捨てるように言った。
まだ心の中に引っ掛かっていた。
助けられなかった親のかまいたち。
「辛かったね。でも、この子たちは生きてる。この子たちのためにも、牛鬼は笑ってなくちゃ」
「・・・うん」
牛鬼はじゃれて遊ぶかまいたちを見て強く頷いた。