妖の王子さま



「これはまた、にぎやかになりましたね」




部屋にやってきた多々良が、その様子を見て目を見開いた。
しかし、怒ることはせず微笑ましそうに見つめた。

多々良も、少し丸くなったな、と牛鬼は感じた。
牛鬼が多々良に会った時には十分穏やかになっていた多々良だったが、それにさらに拍車がかかっている。

それはもちろん、蒼子の影響があるんだろうと牛鬼は感じていた。




「黄色がくーちゃんで、オレンジがくーくんだよ」

「そうですか。よろしくお願いしますね」



そう丁寧にあいさつまでしてしまうのだ。
牛鬼はおかしくて吹き出してしまう。



「牛鬼?どうしたの?」

「いや、なんでもないよ」




笑いを抑えつつそう答える。
それぞれに、蒼子との出会いによって変わってきているのだ。

自分も少しは変れているだろうかと牛鬼は思案する。




「だったら、いいな・・・」




そう、しみじみと呟くのだった。





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