妖の王子さま
「もし参加しなくて、暇なら・・・、一緒にお祭りに行かない?」
「・・・お祭りに?蒼子、行きたいの?」
「うん。・・・ダメかな?」
伺うようにそう言うと、白玖は蒼子をじっと見つめた。
「別に、ダメじゃないよ」
サラリとそう言ってのけた。
ホッとした蒼子は安堵に笑みを浮かべた。
そんな蒼子に白玖は首をかしげる。
「そんな嬉しいの?お祭り」
「嬉しいよ。楽しみだね、白玖」
「楽しみ・・・。そうなの?」
首をかしげ、考え込む白玖。
楽しみになんて思ったことがなかったのだ。
「蒼子さま、着物を着たら?」
「着物?」
「せっかくだし。着物の方が、妖の世では目立たないしさ」
妖たちの服装も、着物が多いのだ。
朱鬼のような例外もいるが。