妖の王子さま
蒼子は、そうして白玖の表情がコロッと変わるのが好きで、ついそう言って意地悪をしてしまう。
今までに見なかった白玖の姿に、蒼子も楽しんでいるのだ。
「みたい」
「だめ」
「意地悪、蒼子」
「もう、お祭りまで楽しみにしてて!」
「・・・楽しみに。早くみたい、って思うのは、楽しみってこと?」
「うーん。まぁ、そうかな?」
蒼子が答えると、白玖は、そっか、と小さく呟いて考え込んだ。
新しく知った感情に、白玖は満足そうに頷いた。
「そっか。楽しみか。・・・うん。楽しみにしてるね、蒼子」
「ふふっ。楽しみにしててね」
蒼子は、どんな着物を着ようかと考える。
白玖に、可愛いと言ってもらいたい。
蒼子は最初以上にお祭りの日が楽しみになっていた。