妖の王子さま



妖の世のお祭りは、人間の世のお祭りと、そう変わりはなかった。
代わることといえば、露店を切り盛りしているのが妖であることと、それを買う者もまた妖であるという事。


そして、人間の世でも見られる食べ物の中に、蒼子のみ知らぬ不気味なものが混じっているという事。


目玉の形をしたものを串に突き刺しているもの。
やもりのようなものの姿焼き、など。

蒼子が目をそらしたくなるようなものも少なくない。



「す、すごい・・・」



その模様に、蒼子は白玖にぴったりとくっついて顔を青ざめた。
うかれすぎていたことを、軽く後悔していた。




「蒼子、風車」




白玖が、指差す先に風車を打っているお店を見つけた。
色とりどりの風車が風を受け回っている。
パラパラパラと音を立て回る様子に蒼子の表情が明るくなった。




「綺麗!」




青ざめていた表情から一転した蒼子を見て、白玖はホッとする。
緩んでいく頬に首をかしげながら、楽しそうな蒼子をずっと見ていた。




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