妖の王子さま
「見て、白玖。きれい」
一つの風車を手に取り白玖を見上げる。
目を輝かせ風車に息を吹きかける蒼子。
なんて、可愛いのだろう。
誰にも、見せたくない。
蒼子が、可愛いことを、誰にも知られたくない。
白玖の中に、小さな独占欲が生まれた。
無意識に、白玖は着物の袖を蒼子の顔の前に出す。
「わッ!?」
隠されるように視界が遮られた蒼子は、驚いて顔を向けた。
その一瞬で我に返った白玖は、その手を下ろす。
「ごめん・・・」
首をかしげ、そう謝った。
蒼子は、にっこりと笑う。