妖の王子さま



「これ、もらう」

「まいどあり」



露店の店主に白玖はお金を渡す。
そして、蒼子の手を取り歩き出した。




「わ、白玖!?あの、ありがとう!」

「・・・うん」




なんだろう、この焦燥感は。
焦る気持ち。
胸の、ざわめき。



この気持ちは、どうすれば治まる。



白玖は、蒼子を連れ賑わいの中から外れた。
木々に囲まれた森の中で、祭りの賑わいが遠くに聞こえる。





「白玖・・・?」





後ろから聞こえる、戸惑ったような蒼子の声。
白玖は、蒼子を引き寄せると、木にその背中を押し付けた。




「きゃっ!?」




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