妖の王子さま



「は――――っ」




白玖、と名を呼ぼうとした蒼子の唇を、自分のそれで塞ぐ。
蒼子の身体がビクッと震え、白玖の着物を掴んだ。


息苦しさに押し返そうとするその手を掴み上げ、自分の首に巻きつけると、グイッと体を寄せ隙間を埋める。



触れる蒼子の頬が、次第に熱くなっていくのを感じる。


蒼子といると心拍数があがる。
胸が高鳴り、自分が自分ではないような気になる。


いったいこれはなんという感情なのだろう?






溢れる感情に、白玖は戸惑う。





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