妖の王子さま
何人もの妖の傷を受け取っていくうち、着物は血で赤く染まり、身体がうまく動かせなくなってきていた。
涙のせいか、傷のせいかうまく息ができず苦しい。
「・・・っ、く・・・っ」
ついにその場に倒れこんだ蒼子。
まだ、傷を負った妖は残っている。
「おい、気絶すんなよ。まだ終わってねぇんだ」
蒼子の髪を掴み上げ、すごむ朱鬼。
蒼子は息も絶え絶えで苦痛に顔を歪ませることもできなかった。
苦しい。
痛い。
助けて。
心の中で、何度も助けを呼んだ。
白玖。
白玖。
何度も、白玖の名を呼んだ。