妖の王子さま
「ご、ごめん。蒼子。・・・痛かった?」
心配そうに顔を覗かせる白玖が、とても苦しそうで蒼子は思わず蒼子は首を横に振った。
痛む身体に、徐々に思い出していく記憶。
起きた出来事を思い出し恐怖に身体を震わせれば、白玖が優しくその体をさすった。
「ごめん、ごめん、蒼子」
今にも泣きそうな声。
その意味が解らず、蒼子は白玖を見つめる。
「おれが、おれが、蒼子を置いていったから」
ああ、そうか。
それで、自分を責めているのか、と蒼子はようやく気付いた。
蒼子は儚く微笑み、白玖の頬に手を添える。
「白玖のせいじゃないよ」
優しく、そう言い聞かせるように言った。