妖の王子さま



「好き・・・」



白玖は、繰り返すように呟いた。
眠ってしまった蒼子を見つめながら。


身体を起こした白玖は、その言葉を何度も繰り返す。



「・・・なに、愛の告白してんだよ」




そんな白玖に、飽きれたような声を送るのは牛鬼だ。
包帯の替えを持ってきた牛鬼は、それを蒼子の側におく。




「また、寝ちゃったのか?・・・起きた時に包帯変えるか」



眠る蒼子を見つめ、小さく息を吐いた。




「牛鬼、好きって、どういうこと?」

「・・・は?」



白玖の突然の言葉に怪訝な瞳を向ける。
それでも、白玖は真剣な目をしていて言葉に詰まった。


ああ、そうか。
そんなこともしらないのか。
牛鬼は納得し、説明する言葉を考えた。





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