妖の王子さま



「ごちそうさま」


蒼子が食べ終え、膳を片付けようと持ち立ち上がろうとした。
その時、胸がズクンと痛み膳を手から落とし蹲る。



「・・・っ」

「蒼子さま!?」

「・・・蒼子?」



胸を抑え蹲る蒼子に、牛鬼や白玖たちが駆け寄る。
苦しげに顔をしかめた蒼子は、うまく息が吸えていないようだった。



「蒼子!どうした!?蒼子!」

「蒼子さん!」



心配そうに声をかけていると、しばらくして落ち着いたのか蒼子の身体から力が抜ける。




「・・・ごめ、大丈夫・・・。ちょっと、胸が痛くなっただけだから」

「胸って・・・、今までそんなことなかったろ!?」



牛鬼が蒼子の身体を支えながら叫ぶ。




「・・・大丈夫。病み上がりだからかな?」

「蒼子・・・、ごめん。俺・・・」

「白玖、白玖のせいじゃないよ。気にしないで、大丈夫だから」



昨夜の事を思い顔を翳らせる白玖を安心させるように蒼子は笑った。


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