妖の王子さま
蒼子は立ち上がり、散らかった膳を元に戻すとそれを持って立ち上がる。
「蒼子さま、俺が」
「ありがとう」
牛鬼の言葉をありがたく受け、膳を渡す。
今まで感じたことのない胸の痛みに、蒼子の中に小さな不安を抱かせた。
それでも、それを白玖に知らせたくないと笑みを絶やさずにいた。
多々良は、そんな蒼子を心配そうに見つめ白玖の全を片付けるため席を外した。
「蒼子、本当に、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ」
白玖の隣に戻り座ると、白玖の肩にトン、ともたれかかる。
「白玖、一つだけお願いがあるの」
蒼子が、意を決したように話しはじめた。
白玖は視線を肩にもたれる蒼子に移す。
「お願い?」
そう、尋ねた。