妖の王子さま
「戦いから戻ってきたと聞いたので、会いに来たんですよ」
「そう」
「白玖さまに会えない日々はとても寂しゅうございました」
しな垂れかかるように、座っていた白玖の隣になだれ込む天。
白玖の胸元に頭をもたげ甘えるように手を摺り寄せた。
「抱きしめてくださいまし」
天の言葉に、白玖はそっと天の身体に手を回す。
言われたままに抱きしめると、天は幸せそうに目を閉じた。
「白玖さまと、離れたくない・・・。白玖さま、私を抱いてくださいませ」
すがるように白玖の胸元から顔をあげ瞳を潤ませ訴える。
白玖は、無表情でその瞳を見下ろすと、そっと天の頬に手を寄せた。
「いいよ」
小さく吐き出した言葉とともに、天をその場に押し倒した。