妖の王子さま
いずなに言われた言葉が、白玖を責め立てていた。
蒼子を、これ以上傷つけたくない。
「白玖!私は、白玖の力になりたいの!白玖を、助けたい!」
「・・・心配しなくても大丈夫だよ。これくらいじゃおれは死なない」
白玖は、そう言って牛鬼に支えられながら部屋の中にはいる。
牛鬼はなにも言えず白玖に従った。
「白玖!」
蒼子が、白玖の腕を取る。
ぐ、と力を込めると白玖の傷が蒼子に移っていく。
「やめろ!」
白玖が、蒼子を突き飛ばす。
「蒼子さん!」
後ろにいた多々良が、蒼子を受け止めた。
白玖は痛みに顔をしかめバランスを崩す。
牛鬼が慌ててそれを受け止め抱き起した。