妖の王子さま
白玖の怪我はそれから3日ほどで完治に至った。
蒼子はずっと側に付き添い、看病を行う。
怪我を引き受けることは最後まで白玖が拒んだため、普通の手当てしかできなかった。
「やっと蒼子を抱きしめられる」
蒼子は、白玖の腕の中にいた。
それでも、なにもできなかった感が蒼子の心を支配する。
白玖があんなに傷ついて苦しんでいたのに。
「蒼子?」
「・・・ん?」
心配そうな声にハッとして、慌てて笑顔を作る。
白玖に、心配をかけたくない。
その想いに、蒼子は想いに蓋をした。
「蒼子、・・・好き」
「・・・うん。私も、白玖が好き」
好きなだけで側にいられたらいいのに。
なにもできない、それがこんなにもつらい。