妖の王子さま
白玖の腕の中、蒼子は白玖に気づかれないようそっと涙を零した。
それを、白玖の胸に顔をうずめることでごまかす。
「蒼子」
白玖はギュウッと蒼子を抱きしめる。
「・・・白玖」
蒼子が白玖を抱きしめる腕に力を込める。
白玖はそれに応えるように蒼子を抱きしめた。
幸せとは、こういうことを言うのかと。
白玖は、噛みしめるように蒼子を抱きしめる。
「・・・っ」
蒼子の身体が、ビクッと揺れた。
白玖は気になり体を離す。
すると、その腕からするっと身体を倒し地面に倒れこんだ。
「蒼子!?」
白玖が声を上げた。