妖の王子さま
「熱もないようですし、一体どういうわけか・・・」
「どうにかしろ!蒼子が!」
白玖が取り乱し、声を荒げる。
蒼子は倒れたまま意識のない状態が続いていた。
原因はわからず、妖の医師を呼んだが手の施しようがない状態だった。
「蒼子・・・っ」
泣きそうな声で白玖が名を呼ぶ。
蒼子の顔色は青く、血の気が引いていた。
「白玖さま・・・」
白玖の姿に胸を痛める。
多々良は、立ち上がる。
「一人、心当たりがあります」
「・・・え?」
「少し、お待ちください」
多々良はそう言って部屋を後にした。