妖の王子さま
「どういう・・・っ!」
白玖は、声を荒げ身を乗り出した。
多々良たちも目を見開き、言葉にならない。
「人間の命というものは、妖と比べはるかに短く儚いものです。そして、妖にも人間にも、命、というものには限りがある。それはお分かりですね?」
覚の言葉に白玖は言葉なく頷いた。
そんなことは知っている。
命あるものは、いつか死を迎える。
それは、自然の原理だ。
妖は、人間と比べるとはるかに長い。
だが、長いというだけ。
それは永遠ではない。
「命を終えるには、寿命を全うし息絶える。それだけではないでしょう。傷つき再起不能になり若くして息絶えることも」
「・・・それは、そうだけど」
「命の灯には、限りがあります。いくら、傷を癒やす能力が備わっていたとしても。命の灯が消えれば、その命は終わりを迎える」
淡々と。
淡々と話される言葉に、白玖たちは息をのむ。
なにを言わんとしているのか、気づきたくない思いで。