妖の王子さま



「この力を使うということは、それだけ命の灯を使うという事。使えば使うほど、その灯は小さくなっていくものです。例えるなら、ロウソクのようなものでしょうか?」




火を灯せば、蝋は溶けそれは短くなってゆく。
命の灯も同じ。
使えば使うほどに、それは小さく儚くなっていく。




「おそらく、今倒れてしまったのは、これまでの無茶な力の使い方により、身体が危険信号を出しているのだと思います。ですから、すぐさま命に関わることはないでしょう」




覚の言葉に、少しホッとする一同。





「しかし、このまま使い続ければ。・・・その終わりも、近づいていくことになる。そうでなくとも儚い人間の一生を、さらに短くしたくなければ、もう力など使わないことです」




覚にそう言われ、身を乗り出していた白玖はすとんと力なく座り込む。
多々良は、押し寄せる後悔に目を閉じ。

志多良や牛鬼も、なにも言葉を発することもできずただ茫然と座っていた。




「この娘の過去が見えます」




覚は白玖たちの様子を気にも留めず話を続けた。




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