妖の王子さま
「強い生命力をつけることです。灯を減らすのを防ぐには、それが一番ですから。それには、ストレスを溜めぬこと、穏やかな心でいること。よく食べよく寝る、基本的なことです」
そう言って、覚は去っていった。
多々良が見送りに出る。
白玖は、蒼子の側に寄る。
蒼子の額に手を添えた。
「蒼子・・・ごめん」
そう呟くと、蒼子の頭を優しく撫でた。
牛鬼はそんな白玖を痛々しく見つめ、志多良を連れて外に出た。
自分のせいだ。
誰もが、そう思い胸を痛める。
蒼子が自分の身体を犠牲にし何度も助けてくれた。
そのことを、申し訳ないと思いつつも強く止められなかった。
すぐに治るから大丈夫。
蒼子のそう言って笑う笑顔にいつも流されて。
その結果がこれだ。
ここまで追い詰められ傷付けなければ気づけない。
それが悔しくて、憤りを感じる。