妖の王子さま
蒼子が目を覚ましたのはその次の日の事だった。
ぼんやりとする視界を移せば、白玖が蒼子の手を握り座ったまま眠っていた。
「白玖・・・」
小さく呟けば、白玖の瞳がパッと開いた。
「蒼子!」
「・・・おはよう」
状況がつかめない蒼子はとりあえずそう言うが、白玖は瞳を潤ませ蒼子を見ている。
その状況に首をかしげながらそっと身体を起こした。
「だめだよ、蒼子。まだ寝ていて」
「・・・でも、別に怪我をしているわけでも、熱があるわけでもないよ?」
「それでもダメ」
白玖の手が蒼子の肩を押さえこみ布団に倒した。
蒼子は布団に倒れこみながら白玖を見上げる。
不思議に思いながら、白玖に言われるまま横になった。
「蒼子、倒れたんだ」
「・・・そっか」
「ごめん、蒼子。おれのせいだ」
「え?」
言われている意味が解らず蒼子は首をかしげた。