妖の王子さま
共に
蒼子の体調もすっかり良くなった頃。
白玖は多々良とある一室で向かい合っていた。
「これ以上蒼子さんの力を使わせるわけにはいきませんね・・・」
「うん」
それは、蒼子のことだった。
例え、力を使うなと言ったところで、蒼子が納得するとは思えなかった。
幾度となく自らの意思でその力を使ってきた蒼子なのだ。
その力で自分の命が削られるといっても、白玖や他のものたちが命の危機に晒されればそんなことお構いなしに力を使おうとするだろうことは、容易に想像ができた。
「私が、蒼子さんの力を利用しようなどと思わなければ・・・」
多々良にとっては、そのことが大きな後悔として心の中にあった。