妖の王子さま
「・・・多々良、おれは蒼子を守るためなら全て手放してもいいよ」
「・・・はい、白玖さま。私は、白玖さまの仰せのままに」
多々良は覚悟を決めていた。
白玖が蒼子と結ばれたと知ったとき。
白玖がそう言いだすのではないかと。
ならば、そのために、自分のできることを。
「ごめんね、多々良」
「なにを仰いますか。白玖さまの幸せが、私の幸せですから」
白玖が見る世界が自分の目指す世界なのだと。
それは、はじめから変わらない多々良の思いだった。
「どこまでも、白玖さまについて行きます」