妖の王子さま
「白玖、私も連れていって・・・」
「蒼子・・・、ダメだよ。蒼子を危ない目にあわせたくない」
「やだ!待ってるだけの方が、私は嫌なの!前みたいに隠れておくから!危ないことは、しないから!」
置いていかれるのは嫌だった。
姿の見えない場所で帰りを待っているなんて。
「・・・力を、使わないと約束できる?」
「白玖さま・・・」
「約束する!使わないから!」
蒼子の迫力に断れなかった。
「確かに、ここに残ることも危険かもしれませんね」
「え?」
「今回の戦は全ての勢力を結して向かわなければいきませんから。そうなればこの屋敷に蒼子さんと母君、そして母君の従者だけになります」
「あ・・・」
白玖の母。
蒼子にいい感情を抱いてはいない。
そんな者たちと蒼子だけにしておくよりはともに連れ立ち、そばに置いていた方がいい。
白玖もそれに頷いた。