妖の王子さま
「ああっ・・・白玖ッ!・・・いずなも・・・っ」
「蒼子、落ち着いて・・・。見つかってしまう」
「う、ん・・・ごめん・・・」
蒼子は頷きながら身を隠す。
自分が見つかってしまえば、白玖にも迷惑がかかる。
自分のせいで、白玖が傷ついてしまう事は避けなければ。
そう思うのに、気持ちは急いて前のめりになってしまう。
その時、白玖が朱鬼に勢いよく吹き飛ばされる。
「あ!」
蒼子がそれに反応し身を乗り出す。
牛鬼がハッとして蒼子の身体を抱え伏せようとするが間に合わず。
白玖は蒼子に向かって吹き飛ばされ蒼子にぶつかりながら地面に倒れこんだ。
「う!」
白玖が顔をしかめながら身体を起こす。
柔らかい感触が手に触れハッと目をあけた。