妖の王子さま



「っ蒼子!」



蒼子は白玖の下敷きになりぐったりと、意識を失っていた。
白玖は目を見開き、蒼子の頬に手を触れる。



「蒼子!蒼子!」

「・・・くっ、は、白玖・・・」



巻き添えを食った牛鬼が顔をしかめながら起き上る。




「蒼子さま!」

「・・・っ、許さない。・・・絶対に、許さない」




白玖が拳を握り怒りを露わにする。
牛鬼はハッとし、白玖を見上げた。
怒りに身を任せたあの時の白玖。


「・・・は、く・・・っ。白玖・・・ダメだよ」




蒼子が、意識を取り戻し、白玖を落ち着かせようとその手を取る。





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