妖の王子さま



「白玖・・・。私は、大丈夫・・・。落ち着いて・・・」

「・・・蒼子」

「怒りに任せたら・・・勝てない・・・。白玖は勝たなくちゃ・・・いけないんでしょう?」




蒼子はそう言ってほほ笑む。
白玖は、唇を噛みしめ小さく頷いた。

落ち着かせるよう目を伏せ。
心を静めていく。




「蒼子・・・。おれ、勝つよ。勝って、蒼子を迎えに来る。だから・・・」

「うん。待ってる・・・」

「いってくるね」





白玖はそっと蒼子の頭を撫でる。
そして立ち上がると、いまだに戦いの最中のいずなと朱鬼の元へ向かった。




「蒼子さま」

「・・・うん。平気。白玖を、信じてるから」



牛鬼に支え起こされ、蒼子はそう言って白玖が行った方向を見る。
戦っている白玖の姿を視界に入れると、強い意思を込めた視線を向けた。




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