妖の王子さま



その戦いには、しばらくして決着がついた。
終わった頃には、白玖もいずなも体中傷だらけになっていた。



荒い息を吐き立っている。
倒れこんだ朱鬼は、息絶えていた。




「本当は・・・、殺したくはなかったんだけどな」



白玖が呟く。
降参するのなら。
そう思っていた。




「降参!?馬鹿が!そんな美しくないこと我がすると思うのか!そんなことをするくらいなら、死んだ方がましだ!」




それを拒んだのは、朱鬼だ。
最期の時まで、戦うことをやめず散っていった。




終わった。
それを確認した後、蒼子は白玖に駆け寄った。




「白玖!」

「蒼子・・・。蒼子、ケガは?」

「私は、平気・・・」




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