妖の王子さま
蒼子は、人間界を捨て。
白玖は、生まれ育った場所を捨て。
新たな日々へ。
「暖かい日は散歩に行って、庭では野菜を育てよう」
「うん」
「それをとって、蒼子が料理を作ってくれるんだ」
「うん」
「一緒にご飯を食べて、一緒に布団で眠る」
「うん」
「とても、素敵だ」
当たり前のようなそんな日々が素敵だと思える。
そんな日々が、目前なのだと心が躍る。
今まで感じたことのなかった幸せが。
これが、幸せなのだと。
「白玖と一緒なら、なにをしても楽しいね」
「うん。おれも、蒼子と一緒なら楽しい」