妖の王子さま



白玖が用意した家は、屋敷に比べるととても小さな家だった。
それでも、ここから新しい日々が始まるのだ。



最初は大変だった。
生活が軌道に乗るまではとても忙しい日々だった。

それでも、二人で協力してやればどんなことでも笑に変えられた。


白玖は、その幸せを噛みしめ。
蒼子も、喜びに笑顔を増した。




「白玖ー!お茶にしよう」

「ああ、うん」

「なにしてたの?」

「面白そうな本を見つけたんだ。だから読んでみようと思って」




長としての仕事がなくなった白玖は開いた時間で読書を始めた。
蒼子も、花を育ててみたりと時間を思い思いに過ごしていた。

穏やかな日々。
笑顔に溢れる日々に満足していた。


それでも、少しだけ思い返すのは。
あの賑やかだった日々。


多々良や志多良、牛鬼に囲まれ賑わっていた日々。





< 376 / 381 >

この作品をシェア

pagetop