妖の王子さま
「はい、お茶」
「ありがとう」
白玖の隣に座り、もたれながらお茶をすする。
白玖は、もたれた蒼子の頭に自分の頭をもたれさせ目を閉じる。
「幸せって、こういう気持ちを言うんだね」
「うん。私も、幸せ」
「蒼子、ずっとずっと、一緒にいよう。力なんて使わずに、ここでずっと一緒にいよう」
「白玖・・・。うん。一緒に、いよう」
力を使わなくなって、蒼子の体調はすっかり良くなっていた。
時々、覚に診てもらっているが、変わりなくとの診断だった。
短くなった分は増えはしないが、減らさなければ十分に生きられる、そう太鼓判を押されたのだ。
トントン
玄関を叩く音にハッと顔を上げる。
蒼子が立ち上がり、玄関に向かう。
「はぁい」
ゆっくりと玄関を開くと、その先に見えた姿に蒼子は目を見開いた。